高校入試状況の激変を考える(3)

3月7日に行われた公立高校入試で、宗像高校では事実上120人程度しか合格できませんでした。この120人は入試本番ギリギリまで鍛えられてきた生徒でしょう。他方、学力試験を受けずに合格が内定した生徒は入学後につまずかないだろうかというのが私の大きな心配です。
国公立大学に多くの合格者を出す、いわゆる「公立御三家」については、福岡高校が推薦志願者91名に対して内定者40名、修猷館高校が推薦志願者86名に対して内定者35名、筑紫丘高校が推薦志願者128名に対して内定者49名と、推薦の内定者をかなりしぼって、できるだけ生徒の学力レベルを維持しようという姿勢が見られます。しかし、そういう姿勢を見せない公立高校が多いのは残念です。
ある大手塾の創業者が1999年に『「理数教育」が危ない!』という著書を出版しました。資源やエネルギー源がほとんどない日本は技術立国として生き残るしかないのに、肝心の理数系の教科書のページ数が減り、理数系の力を伸ばせなくなっていることについて警鐘を鳴らした著作でした。それから20年以上が経過した現在の公立高校入試の現状を見る限り、理数教育どころか、文系教育も、そしておそらくは芸術教育や体育教育も危機に瀕しているのではないかと思われますが、創業者がそのような著作を出した大手塾が、少なくとも対外的にはこの危機について何も語っていないのはきわめて不思議です。
プロナビは、この高校入試の激変と教育の危機について、塾としてどういう立場で臨み、生徒・保護者のみなさんに訴えていくかを、5月中をめどにまとめてお知らせする方向で準備を進めています。